第八話 「國狭槌命」こと金山彦

写真 榛名山かもんがたけ 出典:登山情報サイト

上毛三山の一つに数えられる複式火山。群馬県のほぼ中央にあり、利根川を挟んで赤城山と向か

い合っています。

○イスラエル系黎族の移動経路

○瀛氏(いんし)統領金山彦は波羅奈国王の系譜

○紀元前2世紀頃、済州島を経て薩摩半島の阿多へ

○またの名「金山彦」鉱山学博士

○伊都国王

 

1.イスラエル系黎族の移動経路

    モーゼ(紀元前1世紀または13世紀ごろに活躍したとされる)を支えたヤコブには12人の子  があり、後にイスラエル12部族と呼ばれましたが、その一族もエジプトを追われ四散しました。その後、ペルシャを経てインドのガンジス川中流、現代の都市名で言えばヴァ―ラーナシ―(ヒンドゥー教・仏教の聖地として重要な都市)に紀元前10世紀頃に定住し、波羅奈国(カーシー国とも呼ばれた)を建国しました。

しかし、紀元前4世紀頃にアレキサンドロス大王に追われ中国へ移住後、姓を「嬴(いん)氏」に改めましたが、黄河文明を代表する華夏民族(漢民族の祖)との対決に敗れ、済州島を経由して紀元前2世紀頃に九州南部の阿多(大隅半島)に陸続と渡来しました。

金山彦集団は、阿多を根拠地に将兵を養い、その後は紀元前後に糸島の曽根丘陵に進出。『魏志』倭人伝が記す伊都国王兼第一次九州王朝の親衛隊長に就いていたと故百嶋氏は述べています。

2.瀛氏の統領金山彦は「波羅奈国(はるなこく)」王子の系譜

この「波羅奈国」の痕跡を示すのが群馬県高崎市の榛名(はるな)山です。榛名神社の祭神は火産霊神(ひむすひのかみ)と埴山姫神(はにやまひめかみ)が祀られています。

すなわち、火産霊神は金山彦です。后埴山姫神とは後述する白族統領奴国王大幡主の妹埴安姫(はにやすひめ)です。

3.紀元前2世紀頃、済州島を経て薩摩半島の阿多へ

金山彦集団が上陸した「阿多」の地は「黒砂(いさご)」と呼ばれる良質な砂鉄採取地でした。これに目をつけた金山彦集団は多くの鉱山開発に従事するとともに、金首露(初代金官伽耶国王)が開発した「鍛鉄(溶かした砂鉄を冷却し、鉄を叩いて.鍛える方法)」技術を獲得するため、紀元前1世紀頃に弁辰国へ進出し、その結果強力な鉄器軍事集団を形成していきました。

鉱山開発は、日本海側と中央構造線の二つのグループに分かれて進 出したと考えられます。

日本列島はニュージーランド・カナダと共に世界の三大砂鉄産地の一つで、日本海側の砂鉄はとりわけ良質でかつ豊富でした。

4.金山彦のまたの名

金山彦をご祭神とする金屋子神信仰(かなやこかみしんこう)は、中国地方を中心に九州・四国の一部から遠く関東・東北にまで広がっています。同神を祀る神社周辺はほぼ鉄に関係しています。

金山彦を祀る神社には、岐阜県不破郡垂井町の南宮大社、島根県太田市鳥井町の佐比賣山(さひめやま)神社、関八州総鎮護の熱海市伊豆山の伊豆山神社(祭神火牟須比命)、宮城県遠田郡湧谷町の黄金山神社などで、いずれも鉄と関係する地域です。また、火伏(ひぶせ)の神として全国の秋葉神社・愛宕神社で祀られているのがカグツチ神です。

したがって、金山彦とカグツチ神とは同体の神と云われています。

5.伊都国王金山彦

『魏志』倭人伝では「伊都国を千余戸」と記していますが、『魏略』では「戸数を万余戸」と記しています。

金山彦一族の王墓とみられる三雲南小路遺跡群にみられる方形周溝墓(ほうけいしゅうこうぼ)、金山彦の軍事集団基地であった吉武高木遺跡にみられる甕棺墓(かめかんぼ)に埋納された多量の武器類、さらに糸島平野や早良平野にみられる弥生時代後期の大規模集落跡から、伊都国は『魏略』が記す「戸数万余戸」が真実の姿を伝えていると考えられます。

脆弱な軍事力しか保有していない九州王朝は、金山彦集団の軍事力に目をつけましたが、僅かな親衛隊兵力も金山彦の軍団に飲み込まれ、「政略結婚」すなわち、初代神武天皇の皇后に金山彦の娘アイラツ姫が送り込まれ、金山彦は初代九州王朝親衛隊長に就任しました。

表 金山彦に関わる神々

神名 血縁関係 生年 またの名など
金山彦 本人 106年 カグツチ神・事解之男神・面足尊・金鑽大神・火産霊神・気吹戸主・蔵王権現など
大市の姫 最初の后 108年 燕脂姫(えんじひめ)
埴安姫 二番目の后 113年 埴土姫・草野姫
五瀬命 嫡子、母オチの姫 122年 神武東遷時に病死
櫛稲田姫 御子、母埴安姫 134年 瀬織津姫・イカコヤ姫
瀛津世襲足姫 孫、櫛稲田姫の娘 152年 武内足尼
長髄彦 孫、櫛稲田姫の息子 150年 瀛(奥)津彦

注:気吹戸主は「祓戸神」祭主としてのハンドルネーム 

生年は故百嶋氏の推定

次回は「豊斟渟尊」です。

 

 

 

 

 

 

 

 

    

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