第十九話 スサノオ神話(1)

写真  宗像大社「神宝館」が収蔵する「沖ノ島祭祀遺跡」の出土品

○「天の安河の誓約」で取り替えられた「三女神」

○「天の安河の誓約」でアマテラスによって取り替えられた「五柱の男子神」

1「天の安河の誓約」で取り替えられた「三女神」 通称「宗像三女神」

    先ず三女神の表記と降臨地並びに宗像大社に関する文献から探求してみましょう。

表 三文献による三女神の配置

  辺津宮 中津宮 奥津宮
古事記 多紀都比売命

亦の名を田寸津比売命

市寸島比売命

亦の名を狭依毗売命

多紀理毗売命

亦の名を奥津島比売命

日本書紀 湍津姫命 田心姫命 市杵嶋姫命
先代旧事本紀 湍津姫命

亦の名を多岐都姫命

亦の名を遺津嶋姫命

市杵姫命

亦の名を佐依姫命

亦の名を中津嶋姫命

田心姫命

亦の名を奥津嶋姫命、

亦の名を瀛津嶋姫命

現在の配置 市杵島姫神 湍津姫神 田心姫神

(1)故百嶋氏の「神社考古学」説

  • 市寸島比売命(いちきしまひめのみこと)またの名瀛津島比売命(AD147年生まれ)

父スサノオ 母アカル姫 最初の夫大己貴命(おおなむちのみ こと)後の大国主命

二番目の夫天忍穂耳命(あめのおしほみみのみこと)またの名天児屋根命(あめのこやねのみ

こと)

宗像大社辺津宮(へっつみや)のご祭神に相応しいと考えます。

市寸島姫命の名“イツキ”は“斎”を意味し、広島県宮島の厳島神社の祭神市杵嶋姫命と関係があ

りそうです。

厳島神社は本来「伊都岐島神社」の表記でしたが、平清盛により厳島神社と改称されたとい

う歴史を持ち、「市杵嶋姫命」の表記は『紀』にしたがったものと推測されます。

本来は“イツキシマヒメ=市寸島姫命”であり、すなわち、瀬戸内海の交通の要衝である宮島

に祀られた航海安全の神です。

  • 田心比売命(たごころひめのみこと)またの名多紀理毗売命(たぎりひめのみこと)・豊玉姫(AD153年生まれ)

父海神豊玉彦 母高木大神の娘豊秋津姫 最初の夫は彦火々出見命(ひこほほでみのみこと)

二番目の夫は大己貴命(おおなむちのみこと)後の大国主命

宗像大社の中津宮のご祭神に相応しいと考えます。

  • 湍津姫命(たぎつひめのみこと)またの名天細女(あめのうずめ)・伊勢神宮外宮様豊受気姫(AD154年生まれ)

父スサノオ 母神大市姫(かみおちひめ)またの名罔象女(みずはのめ)

最初の夫は大己貴命後の大国主命。二番目の夫は天忍穂耳命またの名天児屋根命。

三番目の夫彦火々出見命またの名饒速日命(にぎはやひのみこと)

以上、「三女神」とも大己貴命後の大国主命と通婚しており、宗像大社の主祭神は「大国主

命」であることがわかります。

「天の安河の誓約」でアマテラスによって取り替えられた「五柱の男子神」

故百嶋氏の「神社考古学」による解釈

  ① 正勝吾勝勝速日天之忍穂耳命(まさかあかつかちはやひあめのおしほみみのみこと)

父阿蘇耳族統領神八井耳命(かむはえみみのみこと)母多氏の娘 最初の妃拷幡千々姫

(たくはたちちひめ) 二番目の妃市杵島姫 三番目の妃瀛津世襲足姫(おきつよそたらし

ひめ) 四番目の妃辛国息長大姫(からくにしなおおひめ)またの名天細女(あめのうず

め)

② 天之菩卑能命(あめのほひのみこと)

白族統領大幡主の嫡男海神豊玉彦またの名八咫烏(やたがらす)

③ 天津日子根命(あめつひこねのみこと)

不明

④ 活津日子根命(はえつひこねのみこと)

不明

⑤ 熊野久須毘命(くまのくすひのみこと)

白族統領大幡主

写真  宗像大社  福岡県宗像市田島

 

次回は「スサノオ神話」(2)です。

 

 

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